23回「このミステリーがすごい!」大賞の『謎の香りはパン屋から』は万人にオススメできるミステリー小説。さすがは大賞作。いやわかりますよ皆さん、ミステリーなのかと思う人もいるでしょう。でもあえて言いたい、この作品おもしろいよと。あと読むとパン食べたくなります。
読んだきっかけ
最近メッキリ小説を読まなくなっていた私は、本屋で見つけたこの本を何の気なしに読んでみることにした。表紙がよかったのはある。
そしたらなんとまぁ、読み進める手が止まらなかった。あれ、読書ってこんな面白かったっけと思わせてくれた本書にはとても感謝している。この本を読んで最近は読書が楽しみの一つになった。今は朝起きて15分でも本を読み進めるようにしている。まるで小中学校の朝の読書時間みたいだけども。
全5章からなるパン屋のバイト生活
主人公の小春は漫画家志望の学生であり、友人に紹介されたパン屋「ノスティモ」でバイトとして働いている。そんな主人公が従業員やお客さんとのやり取りの中のふとした出来事や疑問を解決していくという流れ。人が死んだりはしないので結構ライトなミステリー小説だ。
このライトなという点がちょっと気になる人もいると思う。「このミステリーがすごい!」通称このミス(というらしい)なので奥深いミステリーや息をのむような展開は正直ない。ミステリーなのか?と問われると「ミステリーだが、あなたが考えるミステリーとはちょっと違うかもしれません」という回答を私だったらするだろう。それでもこの作品を子供向けだなどど言うつもりはないしすごい面白いと思う。あと読みやすい。
基本的にはパン屋を舞台にそこにかかわる人々の謎を解決してく。この謎に対して「あーなるほど」と良い読後感を与えてくれる答えが用意されている。舞台がパン屋に固定されいるが、それをうまく利用していてそこまで無理がないと感じた。
登場人物の中で不快になる人がいないし、各章のあとでみんな何かしらいい方向にいっている感じになるので読後感もいい。不快な人物がいないということは作者も考えて執筆したとインタビューに答えていた。
個人的には最後のカレーパンの話が特にお気に入り。1日であんなにカレーパン食べたら当分食べなくてもよさそうだけど。
劇的な展開や骨太なミステリーって感じではないけれど万人にオススメできるし、久しぶりに物語読みたいなって人にはちょうどいいと思う。さっきも書いたが私はこの作品を読んで読書熱が再燃した。素敵な作品をありがとうございます。
ちょっとでも気になったらぜひ読んでみてほしい作品。